施設・運転研究所へ

「仙人谷(せんにんだに)」駅


 阿曽原からは高熱隧道と呼ばれる区間を走行する。 車内にもじわじわと暑さが伝わってくると同時に、硫化水素の香りも漂ってくる。 車外に目を向けると湯気がモウモウと立ち込めているのが解る。
 この高熱隧道を抜け、上部線で唯一トンネル外となる場所が仙人谷駅である。
 仙人谷駅は黒部川本流に架けられた橋梁上にある駅で、上流側には関西電力仙人谷ダムを見ることができる。 行き違い設備等は無いが、黒部川両岸に側線が分岐している。
 駅がある橋梁は鉄製のトラス橋であるが、単なる鉄道橋ではなく、 黒部川第四発電所から欅平にある新黒部川第三発電所への導水管を通す役目も担っている。 トラス内部に導水管、上面に上部線という構造で、 さらに線路は全体が屋根に覆われており、しかも側面は取外し式のパネルを備えている。 自然環境の厳しい冬季は、このパネルを取り付けて雪から線路を守るとのことである。
 下流側には関西電力人見平合宿があり、関係者が滞在している。 ここへの食品、雑貨の輸送のため、毎日ワ形貨車が定期列車併結で宇奈月から本線、上部線を通しで一往復している。


黒部川第四発電所前方を望む。
駅全体が屋根に覆われているのが目を引く。 右手に分岐しているのが、仙人谷ダムへの引込線。


欅平上部方を望む。
窓下にパネルが立てかけてあるのがわかる。冬季はこのパネルで窓を塞いで雪害から線路を守る。


上流側には関西電力仙人谷ダムを見ることが出来る。
本線小屋平駅に隣接した小屋平ダムと非常によく似た外観をしている。


下流側は急峻な渓谷となっている。左手に見えるのが関西電力人見寮。


高熱隧道区間では岩肌に火山性の噴出物が析出しているのが見える。


inserted by FC2 system