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「インクライン」について
中間部ですれ違うインクライン
上部線のさらに奥には、黒部川第四発電所前−作廊(さくろう)を結ぶ巨大インクラインがある。


 上部線の終点、黒部川第四発電所前の先には、 関西電力黒部トンネルの終点、作廊までの間にインクラインが運行されている。 やはり関西電力の施設であるが、黒部峡谷鉄道が受託運行している。
 いわゆるケーブルカーであるのだが、一般にケーブルカーとは鉄道事業法で規定される鋼索鉄道をいうのに対し、 この施設は労働安全衛生法で規定された工事用の物であることから、 ケーブルカーとは言わずインクラインと称している。
 釣瓶式2連交走式、延長815m、標高差456m、斜度34度、最大積載量25t、 運転速度40m/分で所要時間は約20分となっている。 ふたつの搬器はA車、B車と称しており、通常はどちらにも人員乗車用の人員ケージが取り付けられているが、 貨物の積載時はこの人員ケージを取外す。 さらに大型の貨物を積載する場合には水平台も取外すことになる。
 黒部川第四発電所前(インクライン下部)、作廊(インクライン上部)ともに天井クレーンを有しており、 荷役、人員ケージ等の脱着に使用される。


インクラインの時刻表 左が上部→下部、右が下部→上部のものである。
釣瓶(つるべ)式2連交走式である為、どちらも同時刻に発車する。

上部線との接続関係を示した時刻表はこちら
■本線(混合列車)〜上部線〜インクライン 下り(南下)
■インクライン〜上部線〜本線(混合列車) 上り(北上)


黒部川第四発電所前(インクライン下部)に掲示されたインクラインの説明板


インクライン搬器の解説掲示
人員が乗車する人員ケージ(ピンク色の部分)は取り外しが可能で、大型の貨物を積載できる。 さらに大型の貨物を積載する時は、水平台(緑色の部分)も取外す。


作廊に停車中のインクラインA車
ステンレス製の箱形の構造物が人員ケージである。
天井クレーンを備えており、荷役、人員ケージ等の脱着に使用される。


人員ケージの内部はベンチが4列、向かい合わせにならんでおり、およそ乗り物のような雰囲気ではない。


 インクラインのトンネル内部は片側に歩道(階段)を設けており、インクラインは逆方向に偏って敷設されている。 人員ケージの屋根が片側だけ一部面取りされた形状であるのは、この為である。
 搬器内部の電源はトロリ線からパンタグラフで集電しているが、 駅部分は天井クレーンでの荷役を考慮してトロリ線は架設されていない。


作廊(インクライン上部)の巻上機


人員ケージ内部の製造名盤
富山市の萩浦工業株式会社製


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