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「鐘釣(かねつり)」駅


猫又を出て鐘釣橋を渡り、再び黒部川左岸に出ると鐘釣である。
鐘釣は行き違いが可能で、相対式のホームを持ち旅客扱いを行うが、貨物ヤード等は持たない。
黒鉄の中では比較的単純な配線かつ設備的には小規模な駅であるが、スイッチバックという強烈な特徴を持っている。 このスイッチバックは、駅前後の急勾配からくる構内の平坦区間不足が原因で、 上下本線のさらに先に平坦な引上線を持っており、ホームも引上線まで続いている。 この引上線への進路に対しては第2場内信号機が設けられており、多くの長編成旅客列車は駅到着時、この引上線先端まで走行して停車する。 客扱いの後出発となるが、まず入換標識の現示と駅員・車掌の誘導により本線にはみ出すかたちで出発信号機外方まで後退し、出発信号機の現示により出発する。 駅から鐘釣温泉方面へと向かう歩道上から、このスイッチバックの様子が観察でき、 観光客に対しても良いアトラクションとなっているかのようである。
この鐘釣駅と次の小屋平駅の区間は、本線で最長の駅間であり、最急勾配の50‰も存在する。 その上このスイッチバックであり、運転時分が最長の区間となるため、ダイヤ設定上の要ともいえる。
前述のとおり鐘釣温泉があり、小さいながらも観光客で賑わう駅である。 従来、黒鉄を利用する観光客は宇奈月から欅平を単純往復する行程がほとんどであったが、 最近は団体客を中心に、乗車時間短縮を目的として、鐘釣往復の行程が増えているということである。


狭い構内ながら売店などもあり、観光地らしい華やいだ雰囲気がある。
乗車券類も販売しており、同駅から乗車する列車の乗車整理券の発行を受けることができる。


構内から宇奈月方を望む。
左手の上り線の先に平坦な引上線が続く一方で、右手の宇奈月方本線は急勾配で下っていることがわかる。


停車中の下り列車から、駅へ進入してくる上り列車を望む。
下り列車は、引上線をめいっぱい利用して停車している事がわかる。 上り列車は数少ない凸形電機EDS13を先頭とした定期混合列車


引上線を利用して停車した長編成列車は、出発時に一旦後退し、列車後部は本線まで飛び出す。 このためホーム後端には入換の進路を確認する為の入換標識が設けられている。
また、引上線に対する進路には第2場内信号機が設けられており、 出発信号機と第2場内信号機が同一の信号柱に設置されている姿には違和感を覚える。


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