EDM形・EDR形 電気機関車 |
EDR24 2007年7月撮影 黒鉄の主力機関車EDR形 この24号機は1980年にED24として新製の後、1990年にEDM24に改造、1997年にEDR24に再改造されている。 |
EDM形・EDR形電気機関車は箱型両運転台構造を持ち、重連総括制御可能な黒鉄の主力機関車である。 このタイプの機関車は1966年登場のED18に始まりを求めることができるが、 長年にわたって増備・改造が繰り返されており、 ED(18〜)形として新製された後に改造された車両もあれば、EDM形・EDR形として新製された車両もある。 製造メーカーは全機、日立製作所である。 |
ED(18〜)形 (EDM形・EDR形への改造により消滅) |
EDM形・EDR形を知るには、そのベースとなるED(18〜)形について知る必要がある。 ED(18〜)形は、凸型・L型車体の直接制御機ばかりであった黒鉄に、 初の箱型両運転台車体・間接制御の本格的な本線用機関車として1966年に初登場し、1988年のED30まで製造が続けられた。 重連で長編成列車を牽引する姿がイメージされるが、最初のED18と2年後の1968年に登場したED19は 重連総括制御機能を持たず、1971年製造のED20以降が重連総括制御機能を持って登場している。 なお、ED18・19も1973年に重連総括制御機能を持つよう改造された。 装備・能力の面では、主電動機出力35kw×4、ギア比78:14=5.57、自重15.5t(ED18・19は15.0t)で、 定格牽引力3650kg、同速度13.7km/h、牽引定数33tであった。 |
EDM形 |
EDM形は、ED(18〜)型の改良タイプとして1990年にED(18〜)形からの改造により誕生した。 また、同年製造のEDM31と翌1991年製造のEDM32は、EDM形として新製されている。 ED(18〜)形からの改造は1993年まで続けられ、改造・新製あわせて最大11両にまで至ったが、 その後はEDR形への再改造により、数を減らしている。 ED(18〜)形との違いは、主電動機は同一ながら、ギア比74:18=4.11、自重16.8t(EDM32は18.0t)とすることで、 定格牽引力2770kg、同速度18.1km/h、牽引定数は33tとして高速化を図ったことである。 |
EDR形 |
EDR形は、1993年に凸型機ED17の主電動機を利用し、車体を新製してEDR17として誕生したのが始まりである。 ED(18〜)型の更なる改良タイプであり、その後はED(18〜)形からの改造、EDM形からの再改造により数を増やし、 1994年にはEDR33が新製により登場している。 しかし、EDR形への改造は1999年のEDR28・29で一旦終了しており、EDR形への統一が達成されず、EDM形も運用される状況である。 装備・能力の面では、主電動機出力を42kw×4に強化、ギア比はEDM形と同一の74:18=4.11、自重は18.0tへ増加させており、 定格速度24.8km/h、牽引定数は33tとして、更なる高速化を図っている。(定格牽引力は不明) 重連総括制御による重連は通常EDR形どうしで行われるが、EHR形との重連も可能である。 なお、EDM形との重連は行われない。(EDM形もEDM形どうしでの重連となる。) |
趣味的にみたポイント |
EDM形・EDR形機関車は、長年にわたる新製・改造により、一両一両の個性ともいうべき外観上の違いがある。 ■前面窓の張り出しと、前面車体形状 前面窓部が張り出した構造になっているのが外観上の特徴であるが、EDR19にはこの張り出しが無い。 EDR17・EDM32・EDR33も張り出しは無いが、運転台全体が前に出たような構造であり、EDR19とは若干スタイルが異なる。 前照灯、尾灯の台座部分や、運転台側窓付近に注目すると違いがよく解る。 また、23〜31号機の張り出し下部には、斜め下を向いた板が取り付けられており、 ちょうど握棒の位置と重なることから、握棒の形状も異なっている。 そもそも、前面窓部が水中眼鏡のように飛び出しているのは、この張り出し下面に開閉式の外気取り入れ口がある為であり、 この板は整風効果を狙った物であると想像される。 なお、EDM32の前面には独立した外気取り入れ口がある。 ■前面窓の一枚ガラス化 現在はEHR形も含め、全ての箱型電気機関車が一枚ガラスとなっているが、 このスタイルとなったのは1991年以降の車両(EDM32、EDR17・33)であり、 他の大多数は元々は左右2枚窓であった。 各種文献に左右2枚窓の姿を見ることができる他、観光ポスターやTVCM等でも、かなり古い写真が使われていることがあり、 意外なところで古い姿を目にすることがある。 ■側面機器室のルーバー形状(数)と機器搬出扉取っ手の形状 側面いっぱいに機器搬出扉がならび、扉にはルーバーと開閉用の取っ手が設けられている。 このルーバーの数、配置は数パターン有あるほか、取っ手についても棒を曲げた簡単な形状の物と、いかにも取っ手という形状をした物が存在する。 |
車種 | ED(18〜)形 | EDM形 | EDR形 |
長 | 6900 | ||
幅 | 1662 | ||
高 | 2730 | ||
自重 | 15.5t ED18・19は15.0t |
16.8t ED32は18.0t |
18.0t |
主電動機 | TCO-H60 35kw 4基 | HS-102Hrb 42kw 4基 | |
駆動方式 | 釣り掛け式一段減速 78:14=5.57 |
釣り掛け式一段減速 78:18=4.11 |
釣り掛け式一段減速 78:18=4.11 |
定格牽引力 | 3650kg | 2770kg | 不明 |
定格速度 | 13.7km/h | 18.1km/h | 24.8km/h |
牽引定数 | 33t |
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