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ED(凸)形 電気機関車
ED10 2008年6月撮影
凸形の車体形状もさることながら、リベットがクラシカルな雰囲気を醸し出す。



ED(凸)形電気機関車は、凸形車体4軸駆動の直接制御機で、昭和9年に東洋電機でED8〜11の4両が新製された。 形材むき出しの台枠やリベット組立の車体がクラシカルな印象を与える。
主電動機出力30.56kw×4、ギア比6.07、自重15.19t、 運転台両側面にドアがあるが、運転台は宇奈月・欅平構内基準で山側を向いており、実際には谷側のドアからしか出入りが出来ない。
製造当初は空気ブレーキ装置を持たず、引き通し配管のみを装備していたが、昭和28年に空気ブレーキ装置の取付を行っている。 また昭和34年には集電装置をポールから現在のZパンタへと変更している。 その他、運転台部分前面に別パーツ取付であった前照灯をボンネット前端に埋め込む等、数々の改造が行われている。
この他、本形式で特筆すべきはED11の車体である。ED11は火災で車体を焼損した為、昭和32年ナニワ工機で車体を復旧している。 この際新造された車体は従来のリベット組立の物と異なり、溶接組立で若干丸みを帯びたスマートな物となった。
1994年にはED8が廃車となり、黒部市(旧宇奈月町)明日(あけび)のキャンプ場を設けた公園「どやまらんど」に、 同じく廃車となったハ形(C形)客車ハフ26・27と共に展示されている。
現在は欅平駅構内の入換仕業を主な任務としており、欅平に1両が常駐している。 運用車の差し替えには、単機牽引の定期混合列車が利用されており、この際に列車を牽引して本線を走行する姿を見ることが出来る。


ED9  2008年 7月撮影
欅平常駐車の差し替えの為、定期混合列車を牽引して本線を走行することもある。



趣味的にみたポイント
■各機の外観上の違い
ただでさえ車両の姿を詳細に見ることが困難な黒鉄であるが、 ED(凸)形電気機関車は欅平での入換仕業という性格上、近くで姿を見ることが極めて困難な車両である。 したがって、ナンバーが読み取れない位置、距離から姿を見た場合にも、その固体を特定したい衝動に駆られる。
まず11号機であるが、これは溶接組立のスマートな車体であり、 同じく凸形車体で溶接組立のEDS13ともスタイルが異なる為、容易に見分けがつく。
問題になるのがED9とED10であるが、両機はほぼ同様の外観であり、遠目に見て固体を特定するのは困難である。
ここで着目すべきは尾灯で、 ED9はボンネット前端に丸型の灯器を埋め込んでいるのに対し、ED10は前面窓脇に角型の灯器を外付している。 この違いから遠くからでも各機の固体を特定することが出来る。



諸元
車種 ED9・10 ED11
6040
1662
2704 2730
自重 15.19t
主電動機 TDK-587-A 30.56kw 4基
駆動方式 釣り掛け式一段減速
ギア比 6.07



各車詳細
ED8
新製1934年 東洋電機
廃車1994年 9月12日
ED9
新製1934年 東洋電機
ED10
新製1934年 東洋電機
ED11
新製1934年 東洋電機
車体新造1957年 ナニワ工機



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