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ED13形 電気機関車 (改造により全車消滅)
ED13 2007年6月撮影 「ふるさと水環境公園」にて
黒部市内の「ふるさと水環境公園」に保存される番号不明のナゾの機関車、 これこそ、ED13のオリジナル車体である。



 ED13形電気機関車は、1957年9月に日立製作所にて新製された凸形車体4軸駆動の直接制御機である。
能力的には従来のED(凸)形ED8〜11とほぼ同一であるが、 車体構造に特徴があり、車体長が6900mmに伸び、その後の電気機関車の標準寸法となった他、 運転台部分の床を落とし込み、運転台内部の高さが確保されている。 側面にドアがあるが谷側のドアからしか出入りが出来ないのは従来同様。 台車は主電動機の取付け位置を一般的な車軸間ではなく端梁側として、ホイールベースを1100mmに詰めているのが特徴である。
 1993年7月にはEDS13へと改造されたが、 この時車体・台車はED17の物に交換されており、 感覚的にはED13とは全く別の機関車である。
 不要となったオリジナル車体は、同時期に廃車となったハ形(C形)ハ29と共に、 黒部市内の「ふるさと水環境公園」に展示保存されている。
 同公園は北陸自動車道黒部ICから宇奈月へ向かう道路沿いであり、非常に目立つとともに、 黒部峡谷へ向かう観光客への良いPRともなっている。



写真撮影 JS3VXW様
1983年 7月28日 撮影
現役時代の姿である。ボンネット前端に埋め込まれた尾灯に注目!



趣味的にみたポイント
■保存展示場所での車体の向き
 「ふるさと水環境公園」で保存展示されているED13のオリジナル車体を詳細に観察すると、なにかおかしいことに気づく。
 黒鉄において空気管、各種ジャンパーの引き通し位置は、宇奈月・欅平構内基準で、
  ブレーキ管 :谷側
  電気暖房電源:谷側
  各種制御  :山側
となっている。車体妻面を見ると、
  欅平側は向かって右手にブレーキ管と電暖、左手に各種制御
  宇奈月側は向かって右手に各種制御、左手にブレーキ管と電暖
となるわけである。
この公園での向きにあてはめると、ブレーキ管に着目した場合、道路側が欅平方、公園側が宇奈月方となるのだが、 ジャンパ連結器を見ると、道路側が宇奈月方、公園側が欅平方となる。???
機関車のブレーキ管が台車に装備されている事を考えると、保存展示場所に搬入された際、 台車と車体の向きを逆に組立た・・・ということになるのだろうが、 これが意図的な物か単なる間違いかは、それこそナゾであろう。
 なお余談だが、ネット上や各種趣味誌に、この機関車の台車がED13の物ではないのではないか・・・という記載が見受けられる。 その理由として、この台車が黒鉄の他の機関車の台車とは、構造が全くことなることが挙げられている。 しかし、文献2にED13の現役時代の写真が掲載されており、その写真と保存展示車の台車を比較すれば、 この台車がオリジナルの物であることは一目瞭然である。 解説でも述べたが、他機と台車構造が異なることはED13の特徴であるし、 762mm軌間の電気機関車台車など、そうそう代わりの物がある筈もない訳で、 なにかの思い違いによる誤った情報が一人歩きしているのでは・・・?と考えているが如何であろうか。
ED13 2007年6月撮影 「ふるさと水環境公園」にて
空気管が右側にあるのに、電気暖房電源ジャンパーも右側、制御が左側にある。これはいったい?



諸元
車種 ED13
6900
不明
不明
自重 不明(15t級)
主電動機 30.56kw 4基
駆動方式 釣り掛け式一段減速
ギア比 不明



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